非常のひと

工業系人間の日常。DIY精神で自分でやれば工具が手に入って、作業も楽しめて2倍お得。

エルグランド (E51 3.5L) (アースカー)

LLクラスのミニバンということで乗ってみました。
いい意味で古臭いが、使いやすいという印象でした。

パッケージングについて

乗ってすぐに感じたのはボディがゆるいなあということ。
最新のミニバンでもそんなに強くはないが、それでも部分的に、たとえばフロアが強かったりと硬い部分を感じるがエルグランドに関しては全体にゆるゆるしている印象だ。
ただしFRなので、幸いその点が大きくネガにはなってない。はげしく走れば別だろうが。ぶつけられたらやばそうな印象を受ける。
過去に助手席に乗せてもらったことはあるが、その時の印象が狭いなってことだったが


運転席はそうでもなく、視界もよくて、最の妙にAピラーが遠いということもなく死角もあまりなくて良好。チルトのみでテレスコはないがハンドル位置に不満はほとんど出なかった。ハイトの調整幅が割りとあり、アップライトに座るパッケージのためと思われる。

あとメーター位置が奥まった位置にないこと。ピラーがそんなに傾斜してないこともある。
素直なボディ形状は、シートポジションにも好影響だ。
椅子も割りとクッション厚があり、良好というほどではないが悪くない。
セレナもそうだが、助手席が一番狭い。ウォークスルーの通路を確保するためか座席自体も小さくほぼ補助席の扱いだ。広さとしては軽自動車の助手席と印象が近い。

2列目はさすがに特等席であり広さも充分。前席もそうだが、フロア位置が高いため天井高はそれほどでもないが、空間としての居心地はこれくらいが落ち着いていていいと感じる。高さは見晴らしがいいので、そんなにネガに感じない。ハンドリングとしては大マイナス要素である。

センターシートがコンソールとなり移動できるが正直あまり使い勝手が良いとは言えない。いらない時にどこにもっていってもウォークスルーの邪魔になる。
その他、シートベルト位置がシート位置によってはどう見ても不適切な位置にあったりエアバッグ無かったりと安全に関してはほとんど配慮がなく、そのあたりが古い車という印象を受ける。

3列目はさすがにこのサイズだけあって不満はない、強いて言えば跳ね上げのためヘッドレストをはずさないといけないこと。背もたれ高さがもう少しあれば完璧。といっても他社がヘッドレストを伸ばしてやっとこさ背もたれ高さを確保してることを考えれば充分だ。跳ね上げタイプのメリットは座面高さがとれて足元が体育座りにならないこと。
 窓も気持ちだがチルトできるのが嬉しい。2列目が開かないことは大マイナスだが。

ラゲッジについて


3列目を使用してもそこそこある。3列目もスライド機構があるので不満があればスライドで対応できるだろう。送迎のためか傘が突っ込んであったが、足元抜けて長尺物が積めるほうがやっぱり便利だなとは思う。
 このクラスだとトランポ利用を考えたいが3列目の厚みがあるのではずさないと不便かな。構造的にはすぐに外せそうだ。2列目は間にタイヤが突っ込めそうだが、OFF車以外だと厳しいか。このクラスだと片側だけ外して4〜5人+バイクっていけるかなと思ったが、厳しい感じだなあ。

パワートレインについて

CVTではなく5ATなのが乗ってみたかった最大の要因だが、出足が思ったよりも唐突でSNOWモードもあるが、SNOWとノーマルの中間くらいの出足が望ましい。ATの制御は古い対応で出足はかなり派手にトルコンが滑っている印象があり、ロックアップしてる領域は正直ほとんど感じない。エンジン自体は静かでトルクもある。ティアナの3.5よりもトルクがある印象だ。基本的にはATにまかせて運転していてもあまり不満がなかった。一応、ゲートでシフトのUPDOWNができるが、反応も遅くてエンブレ用としてもあまり使い道がない感じだ。5ATでも不満はあまりなかった。ぶっちゃけ4ATでもかまわない感じ。燃費さえ許せばだが。

ハンドリングについて

 ブレーキは初期がオーバーサーボ気味だがこの車重と乗車定員考えてもこれくらいないと厳しいだろう。よく出来た車にある強いブレーキ時に全体に沈み込んで確実に効いていく感じはなく、よくある前のみりのおっとっとって感じのブレーキだ。
 FRだけあってさすがにハンドルの操舵感は自然だ。路面自体のフィールはあまり伝えてくる感じではないが不自然な感じもなく、軽いパワステの制御も取り回しに対しては好印象。ボディが四角いこともあって当初、想像したよりも取り回しは良好だ。大げさに言えば前回乗ったノアよりも取り回しがしやすい印象すら受けた。この手の全長が長い車はやはりハンドルのキレ角とトレッドが必要だと感じる。はやり初期の頭部分の回り込みが大きくとれないと扱いは不便だ。駐車場も全長が長いことを考慮すれば悪くない。
 エルグランドで一番好印象なのはこの点だった。先代、アルファードも運転したことあるが取り回しに関しては断然E51エルグランドが優れているし、全体としてもエルグランドが優勢な印象だ。最新のE52とアルファードだとわからないが。

その他



感心したのがスライドドアの飛び出し幅が小さいということ。ボディがペラペラということもあるが、これくらいの飛び出し幅ならばほとんど気にすることなく開けても大丈夫だと思う。車幅は1.8mだが実際の運用はなんだかんだいって最近のノアとほとんど変わらない印象を受ける。
 インテリアが高級ではないが、いい時代の日産車。素材自体は大して高級ではないが色合いやデザインがそこそこ垢抜けていていい印象だ。買うならブラックではなくアイボリーがいい。

総評

 ミニバンを続けて乗ってきたわけだが、当初取り回しに苦労すると考えていたが意外と悪くなくて、このスペースと引き換えならばこのサイズと取り回しならいいかもと思ってしまった。基本乗り味もそんな悪くなくて、なんていうか90年台くらいの欧州車っぽい感じもある。ずっと乗り続けていたなら、今でも悪くないから車検とって乗っておこうと思わせる愛着感を感じる。
 一方で安全性に関しては今の水準からすると低すぎて、正直ファミリーカーとしてはちょっと、買うにはいろいろと考えてしまうレベルである。この車がきちんと改良されて安全性もアップデートされていたならば、結構真面目に購入検討してたと思う車であるのに残念。E52に関しては、苦戦しえるようだが、E51からの乗り換えとしてはなかなか考えにくいとは、ぱっと乗ってみてだけでも感じる次第だ。それはMPVが先代から現行に変わった時にもいえることで、この手のユーザー層はユーティリティが安全と走行性能のためにスポイルされることになかなか理解されにくいのはいつの時代も一緒だと感じる。エンジニアにはなかなか理解できないのだが、ママチャリにハンドリングに影響でるからとカゴを小さくしては売れないのだ。

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